●住宅改修(介護リフォーム)に取り組む前に知っておきたいこと
住宅改修(介護リフォーム)を行う時は、必要性や得られる効果などを視野に入れ考えましょう。
①生活目標および生活ニーズを的確に把握します。
②ご利用される方が自立や利便性のためにするのが大前提ですが、介助者の介護の軽減にも大きな効果をもたらすことを確認します。
③介護保険でできる工事や範囲についてよく熟知します。
④進行性疾病のある場合には、疾病の特性の理解に努め、今後の状態も考慮します。
●住宅改修(介護リフォーム)の進め方について
①ご利用される方の1日の生活動作や自立度、所要時間、介護の有無などの状況を考慮し、ご利用される方が住宅改修(介護リフォーム)でどのように改善しようとしているのかを確認いたします。あわせて、今後の生活目標や介護する方の状況についても把握します。
②住宅改修(介護リフォーム)の必要性、メリットなど目的をはっきりさせ、十分に検討します。
③住宅改修(介護リフォーム)は、心身、建築、家族、経済の少なくとも4つの視点から総合的に判断して改修方法を決定いたします。
④住宅改修(介護リフォーム)だけでなく、福祉用具の活用によって、簡単に経済的に目的を達成できる場合もあります。
⑤住宅改修(介護リフォーム)を行う時は、同居する家族全員の了解を取るようにいたします。
●間取りの基本
介護保険制度の対象となる住宅改修には、間取りの変更に伴うような大がかりな工事は含まれません。しかし、なかには介護保険制度を超えて住宅改修を行おうとする場合も考えられるので、ここでは、ご高齢者の方が住宅で生活を行う時に便利な間取りの考え方の基本を記載いたします。しかし、個人個人によっても生活方法が異なるので、実際にはここに家訓人することが必要です。
①生活は、できる限り同一階で完結するような間取りを考えます。2以上の会にまたがる生活は、上下階の移動の時に危険を伴います。
②部屋の配置を機能的にして、動線を短くします。
③寝室、浴槽、トイレの各室および入口の幅や廊下の幅をゆとりある設計にして、生活動作を行いやすく、しかも、将来、介護が必要になったときにでも対応できるように考慮します。
④家族同士のコミュニケーションを円滑ンできるような、団らんスペースを確保します。ご高齢者の方に対して家族内での孤立感を感じさせない配慮を行います。
⑤洗面、トイレ、浴室などの水まわりは、1ヵ所にまとめたサニタリールーム形式のほうが生活動作が容易になります。仮に、そのようにできなくとも、各室間の間仕切り壁や柱は、将来容易に撤去できるような構造とします。
⑥収納スペースを多めにとって、部屋の中を整理しやすくします。過去の思い出となるような品物を、部屋の一隅に飾れるような配慮も必要です。
⑦ご高齢の方は、夜間にトイレを使用することが多いので、寝室から廊下を通らずに直接トイレに行けるようにするか、隣接させるようにします。
⑧寝室の位置は、他の家族の動きに邪魔されないように配慮いたします。ご高齢の方は、夜が早く朝も早いことが多いです。一方で、床に伏しがちのご高齢の方は、家族の動きが寝室から見えないと寂しくなることがあります。
⑨ご高齢の方の寝室は、洋室にベッドのほうが生活しやすく、介助が必要になった時でも対応しやすいです。
⑩寝室から浴室等のサニタリー部分に直接行けるように配慮することによって、プライバシーの確保もしやすくなります。
⑪台所と食堂は、ダイニングキッチン方式のほうが生活しやすいです。居間を連続させるとなおいいです。
⑫見守りが必要なご高齢の方は、生活部分に常に介助者の目にふれやすいようにいたします。
⑬ご高齢の方の介助が必要な生活動作は、介助者がどのような位置で、どのような姿勢で介護するのが最もよいのか念頭に入れて、部屋の大きさ、住宅設備、家具の配置を検討いたします。
●手すりの取り付け位置
手すりを取り付ける位置には、身体の状況の変化によって、使いやすさの位置が変化することが考えられます。
壁下の下地補修する場合には、変化に対応できるように、広範囲に行います。
手すりの太さは、28~36mmが握りやすいとされています。階段廊下では35mm、浴槽やトイレでは、32mmの手すりが多く使用されています。
関節リウマチ等で手指の巧緻性が低下している場合は、上部が平坦な手すりを用い、手すりに手や肘を添えた状態で移動することがあります。
手すりは、水平に取り付ける場合と、垂直に取り付ける場合が多いです。
水平に取り付ける手すりの高さは、床から75㎝~85㎝程度です。病院などの施設では、80㎝程度で設置されています。ご利用される方の大腿骨大転子の高さ(身長の半分の高さ程度)あわせるのが一番です。
垂直に取り付ける手すりの高さは、下端は水平手すりと同じ高さで、上端は肩の高さから10㎝程度上方が一般的です。
手すりの端部は、衣服の袖口を引っかけて転倒する恐れがあるので、手すりの端部は壁側に曲げ込むことにしましょう。
●段差の解消(段差を小さくする)
1階の住宅の床は、建築基準法で地盤面直下より45cm以上高くするように決められています。そのため、玄関の周辺では多くの段差が生じることになります。
段差を解消するには、3つの方法があります。
①段差を小さくする。
玄関のあがりかまちなどの段差には、式台を設置します。式台の大きさは、奥行40cm以上幅50cm以上あると安心です。
②スロープによる段差解消
最も一般的には、スロープを設置する方法です。車いすを使用する場合には、スロープの設置が適しています。但し、すべての人に適合するものではありませんので、ご本人の意向や理学療法士、作業療法士とよく相談するのが良いと思います。
③段差解消機による
介護保険による福祉用具の貸与の対象商品です。
※現在作成中です