~背景~
『わが国の現状』
①急速な少子高齢化
わが国の人口は2015年現在で約1億2688万人。そのうち3317万人が65歳以上の高齢者であり、全体の26.4%を占めている。少子高齢化傾向と長寿命化が進むなか、今後も高齢化が急速に進展するために、医療・年金が増加し、担い手が減少する。
②家庭環境の変化
核家族や、同居であっても共働きの家族の増加により、家庭内での介護力が不足し、老老介護や妻の2世代介護が社会問題になっている。
③国家財政の逼迫
医療保険・年金保険など財政が逼迫し、現在の社会保障の枠内では十分な対応ができない。
⇒介護負担の増加〈マンパワー・費用〉
介護を必要とする人を社会全体で支えるための制度として、介護保険がスタートした。
~概要~
『介護保険の目的』
介護保険は、介護が必要な状態になっても、自立した生活ができるよう、高齢者の介護を社会全体で支えあうことを目的に平成12年4月から始まった制度です。
・老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支える仕組みです。
・縦割り制度を改善し、保健医療サービス、福祉サービスを総合的に利用できます。
・利用者本位の制度として、利用者の選択によるサービス利用ができます。
・多様な民間事業者の参入が図られています。
・介護を医療保険から切り離し、社会的入院解消の条件整備を目指しています。
『介護保険の仕組み』
介護保険制度は40歳以上の国民(被保険者)が納める保険料と税金で運営されている強制保険であり、その運営主体(保険者)は、市町村です。
~対象/財源~
『サービスが受けられる方』
■65歳以上の方(第1号被保険者)
寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態(要介護状態)や、常時の介護までは必要がないが身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合にサービスが受けられます。
■40歳から64歳までの方(第2号被保険者)
初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる以下の病気(特定疾病)により要介護状態や要支援状態になった場合にサービスが受けられます。
■特定疾病とは(16種)
・筋委縮性側索硬化症(ALS) ・後縦靭帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症 ・多系統萎縮症
・初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等)
・脊椎小脳変性症 ・脊柱管狭窄症 ・初老症(ウエルナー症候群)
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患 ・パーキンソン病関連疾患
・閉塞性動脈硬化症 ・関節リウマチ ・慢性閉塞性肺炎
・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
・末期がん
『財源』
要介護状態にある人が介護サービスを利用する際、その費用を被保険者から徴する保険料だけでなく、国・都道府県・市町村が負担する特徴を持つ。サービス利用者の負担額は1割もしくは2割。介護保険サービス財源は、65歳以上の第1号被保険者と40~64歳の第2号被保険者が50%、残りの50%を国(25%)と都道府県(12.5%)、市区町村(12.5%)で負担している。
~保険料~
『保険料の徴収』
●第1号被保険者(65歳以上の方)
・保険料の設定に当たっては、本人と同一世帯員の所得による所得段階に応じた定額保険料とすることにより、低所得者の方々にとっても過重な負担とならないような仕組みとする。また、市町村における保険財政の安定を図る観点から、中期的(3年程度)な見直しに基づく設定とし、その徴収は、老齢・退職年金(平成18年10月より障害・遺族年金も対象)から特別徴収(いわゆる天引き)を行うほか、特別徴収が困難な者については市町村が個別に徴収を行う。
・国が定めるガイドラインに基づき、保険者(介護保険の運営主体である市町村)が介護保険事業計画を策定し、市町村の条例で設定する。
■第1号被保険者の保険料
第6期(2015~2017年度) 平均5,514円/月
●第2号保険者(40歳から64歳までの医療保険被保険者)
・それぞれ加入する医療保険のルールに基づいて、設定する。この介護保険料は、医療保険者が一般の医療保険料と一括して徴収を行う。
■健康保険に加入している場合
保険料は給料に応じて異なります。保険料の半分は事業主が負担します。
■国民健康保険に加入している場合
介護分保険料は第2号被保険者の所得、その世帯の第2号被保険者の人数などに基づき、世帯ごとに計算されます。
~認定の流れ~
■訪問調査
調査員があらかじめ電話で日時をお約束して訪問し、本人の心身の状態を聞き取り調査します。
●聞き取りする内容
・麻痺や関節の動き
・寝返り~起き上がり~歩行
・入浴、排泄、食事
・衣服の着脱、掃除、金銭管理
・視力、聴力、意思の伝達
・ひどい物忘れ、徘徊などの行為
・14日以内に受けた医療
※現在作成中です。